[コメント] 憲兵(1953/日)
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昭和17年4月、南京陸軍憲兵学校の校庭、校長は藤田進。「銃を捨てて愛の懐へ」なる男女抱擁カット付の貼り紙や「私兵化した軍隊用心棒となる勿れ」というビラが撒かれ、疑われた生徒の中山昭二が殴られる。犯人は中国レジスタンスになる片山明彦。
しかし無事卒業したらしく重慶。中山いろいろ変装してあちこちでレジスタンスらしき者たちと銃撃。釈放した者を後ろから射殺などしつつ、怪我して入院。中国人スパイの赤十字看護婦岸恵子、「ここに働いていると漢奸と呼ばれて殺されるって云いますから」と転職希望しながらを中山に云いながらスパイ活動。
三浦光子の看護婦に特に脈絡なく後ろから襲い掛かる医者の安部徹。この人は処かまわず同じことをするものだ。阿呆な部隊長の東野英治郎は荒れてバーでビールラッパ飲み。中山につくのは転職した酌婦の岸。ビキニのダンサーはすでに新東宝後期のテイスト。
ピストル構えて味方の救出活動する岸は、戻ってきて中山に「祖国に尽くす気持ちより貴方を愛する気持ちが」「一日も早く戦争を終わらせてください。永遠の平和を誓ってください」と接吻。当陽、前線勤務で中山は、中国レジスタンスとなった片山明彦と再会。「もう一度日本軍人にかえれ」と拳銃渡されて自決。この人物の活躍が詳述されたらとても興味深かっただろう。
船が襲撃されて捕虜の米兵と交流し、ハモニカでお国の歌(「オールド・ケンタッキー」と「愛染かつら」!)を交換する件が何か素晴らしい。そして、どちらとも知れぬ敵の銃撃に合い、中山は米捕虜に銃を与えて日米合同で応戦する(捕虜を護ったとも云えるが、自分に銃口が向くかも知れない危険を堂々犯したのだった)。そして死んだ日本兵に米兵は十字を切るのだった。
敗戦。軍刀を揚子江に落として軍人に別れを告げる中山。岸はMPとなり、江川宇礼雄たちと憲兵を逮捕に訪れ、藤田も堀も逮捕する。大腸カタルで病院の中山も逮捕命令。忘れていた安部徹が再登場して中山のことをバラし、岸は中山を射殺して自分も自殺。泣く三浦。派手なラストで、そんなことしなくても、岸が証言すれば中山は助かっただろうにと思われた。
新東宝、児井プロ作品とOP。丹波哲郎も出演している。切り絵のような空襲の特撮はシュールな味がある。原作はベストセラーらしい。
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