コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] チャイナ・ゲイト(1957/米)

愚かしいプロパガンダ映画。共産軍絶滅のために仏外人部隊が大活躍するが、製作年は仏軍のベトナム撤退の年であったという間抜け。フラーナット・キング・コール連れてこんなものも撮る経過は何だったのだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、ナレーターが早口で映画をフランスに捧げる。「300年以上前、仏の宣教師たちがインドシナ半島にわたり、ベトナムは支配下に収められ、幾多の困難を乗り越えてアジア有数の稲作地として栄えた。41〜45年に日本占領、これが終わると革命家ホー・チー・ミンが中国共産党の力を利用してベトナムを掌握、北部でベトミンを組織した。朝鮮戦争終結後、フランスは共産主義のアジア侵略を防ぐために戦線を張る。北アフリカから呼び寄せた外国人部隊の任務は、モスクワから調達される兵器の遮断。それらの兵器は中国門(チャイナ・ゲイト)周辺の山中に隠されていた。ここで貯蔵された爆弾で共産党は北部の村を次々と破壊した。中国門から160キロの距離にあるサントイという村は最後の砦だった。物資は奪われ弾薬も底を尽き、飢えとも戦っていた。米軍が投下する救援物資が命綱だ」。

1954年、ペットの愛犬を食料にしようとする群衆に追われて匿う少年。救援物資のパラシュートでの投下をベトナム人たちがいかにも空々しく指さして喜ぶ。共産党軍に片脚切断された牧師。記録フィルムと映画が組み合わせ、いかにもベトナム人が感謝している様子に編集されている。本邦の中国大陸映画の演出と同じである。

アンジー・ディキンソンの娼婦は中国人のハーフで中国兵と親しい。そこらじゅうで歓迎される。彼等はディキンソンの仲間だったのだろう。色仕掛けで欺いて、なぜ心が痛まないのか不思議になる。反共には鉄の心が必要と映画は訴えるのだろう。

ジーン・バリーは中国系の顔した自分の息子を嫌い、反目、和解、息子をアメリカへ連れて帰る収束に至る物語。ロシア兵の幻覚に殴りかかるハンガリー人ジャシー、彼を殺せという命令による劇化。みんな英語を喋るが彼等がフランス外人部隊。

白人黒人にアジア人の混成軍の人種を越えた協力という主題は美しいが、それは共産党を排除するというプロパガンダの第三項排除でもって成り立っている。勿論そこが誰の土地かを忘れているのだ。ナット・キング・コールのマイナーな主題歌だけは、何を訴えていいのか迷いながら唄っているようなニュアンスがあった。首のもげた仏像が印象的。

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。