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[コメント] 家内安全(1958/日)

伝説の飯田蝶子主演作。知的障碍の次男江原達治がとてもいい。女優で印象深いのは『風船』の芦川だが、本作の江原もこれに伍するいい造形だった。彼を好きな同僚の中田康子も優しくてとてもいい。本当にいい映画。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「一番好きなのはお婆さん、二番目は○○さん、三番目は沢田さん(中田)」と江原に先に云われて、中田が次男が好きかどうか「云えなくなっちゃったわ」と困る件がいい。もっぱら彼女の好感度が映画を支えている。

平田昭彦は悪役だがそれで一貫している訳でもなく、飯田に嫌われてチャラになっている。宴席で部下の次男に男になれと歌わせるのも、独り立ちを願って判る処がある。ここで江原が歌う「月の砂漠」が素晴らしい。宴席ではもっと砕けた歌を歌うのだという常識を外れた感動があった。

ネタにし続けられるソ連の人工衛星は57年10月4日のスプートニク1号。本作冒頭の描写のように、夜空にはっきり見えたとのこと。ソ連がICBMを持ったも同然の技術披露としてアメリカは驚愕した。いまなら中国の宇宙技術開陳みたいな話だと思うが国内の受け止めは実に大らかである。自動でグルグル回る玩具まで登場し、当時が偲ばれる。日本人では駄目だという飯田のギャグも入る。メイドインジャパンは落第だった。

映画は冒頭の俳優任せのストップモーションからして下手糞だし、偶然が過ぎるホンもイマイチだが、コメディだから細かいことはどうでもいいのだろう。熱海の浮気現場を押さえられて佐野周二が開き直り、捕まえた飯田が困るという展開はさも有りなんというリアルがあった。ああいうときは開き直るものだと学習。

(評価:★5)

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