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[コメント] 最後の戦斗機(1956/日)

悪魔のような上官西村晃に立ち向かう渡辺美佐子の姉御が素敵。特攻機に写真が飾られる高野由美の茄子みたいなお婆さんが泣かせる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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戦争映画を纏めて観ると、貴様は死んだことになっているから辻褄合わせに死んでくれという物語がとても多いと気付かされる。新聞記事には特攻兵が一面飾って「必死必殺の体当たり」「二階級特進」などの文句が踊っている。すでに軍神なのだ。葉山の二度目は片翼で飛ばされて「無謀な命令に従う必要はないと判断しました」と帰ってくる太さが素晴らしいのだが、それだけに三度目、大坂志郎と一緒に笑って死にに行くラストはお座なりに思われる。戦死と勘違いした芦川いづみに先立たれては生きていても仕方ないという心情は判るけど。

最近の特攻映画は西村みたいな悪役上官が登場しない。葉山「これ以上は無駄死にであります」西村「続行!」みたいな悪役。こういう対立を描かなくなって、特攻映画はへんな善意の充満した一億火の玉になるのであろう。

芦川の飛び降りる岩場の形状は印象的だが、渡辺対西村の対決も含め、アクションを撮ろうとしないのは不満。『拳銃無頼帖』の監督らしくない。ただ、志願兵たちがまるでパリッとしておらずダラダラ煙草など吸っている描写はヤンキーっぽくて、この人の演出の味かも知れない。お決まりである無礼講の特攻前夜の宴会の、最後に歌われる歌がデカンショ節というのが皮肉だ。高友子も印象的。渡辺の「筋金入れてあげる」という科白も印象に残る。

(評価:★3)

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