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[コメント] 錆びたナイフ(1958/日)

「社会正義」とアウトローの血のたぎりとの相克を描いて真面目な作品だが、原作者の破滅型小説から政治家への転身とか、日活の太陽族過激路線の経営方針修正とかの雑音を遮断して作品だけを愉しむのはとても難しい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







見処は後の主役級宍戸錠小林旭をぽんぽん殺しちゃう蕩尽ぶりと、差し入れの毒饅頭喰らう杉浦直樹の件。ラストはチンピラ高原駿雄殺害のために黒幕清水将夫が自らわざわざ現場へ乗り込む必要はなく無理矢理感があるが、ステッキ振り回す清水のアクションがいいので許される。

しかし清水が車に轢かれるあっけない処理は、脚本家が主題の相克に悩んだ挙句、何も出てきませんでしたという妥協的措置としか観えず、上手く逃げやがったぐらいの感想しか出てきようがない。市民正義代表の北原三枝が骸骨のようでまるで魅力がないのは正に石原慎太郎の限界を示しており、まあこんなものだろう。拘束された白木マリはフォローなく置いてきぼりで気の毒。

(評価:★3)

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