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[コメント] 忍者狩り(1964/日)

東映京都の時代劇は翌65年で終了してしまう。この梅安ものの先駆のように格好いい光と影の集団抗争時代劇が当時受け入れられず、任侠映画ばかりが受けていたのは不思議。時代の嗜好だったのだろうか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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隙を見て跡目相続のお墨付き(ダミー)に火をつけた忍者が見張りの六人のうちにいる、と絞り込んで拷問して、忍者だから吐くまい、と諦めムードになる時間帯(六人全員が犯人でなければ、犯人を見たという奴もいたはずだと思うのだが、誰もそうは思わなかったらしい)。近衛十四郎はやおら一人ずつ斬り殺し始め、五人目がジャンプして逃げようとする奴を斬ってこいつだと判明。六人目は狂ったように逃げて行く。

この狂気の方法が本作の白眉。浪人近衛のお家滅亡の深い恨みには何がしかの説得力があった。とんでもない方法だが(しかし、この六人目も忍者だったかも知れないのではないだろうか)。

前衛フォームの劇伴も、望遠キャメラ連発も、お遍路の首がすっ飛ぶ殺陣も、嫌がる若殿の予知能力も、最後の泥臭い殺陣もいい。浪人4人と侍連中の対立を前振りに、最後はミッションに成功した近衛は、御城代田村高廣らに見送られもせずに去って行くのだった。ネタは『七人の侍』らしいが、こちらは実に判りやすい。

高森和子にヨロメかれて(セミヌードというほどのものではないが)簡単に刺される山城新伍の雄の哀れの件は、別にいらなかったような気がするが、こういうエロ話題作りが興行には必要だったのだろう。

(評価:★4)

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