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[コメント] イタズ 熊(1987/日)

ダサい映画だが美点は幾つもある。田村高廣の爺さんは格好いいし、可愛い子熊の描写は動物映画全盛期の実力を偲ばせる。桜田淳子の秋田弁は当然上手くてその意味でも魅力全開、芸能界は惜しい人をなくした。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







昭和3年、銀蔵さん(田村高廣)10年振り帰還。息子は戦死。「イダスと戦って死なんか」と怒る。孫はマタギにするつもり。円盤投げて兎しとめる芸教える。しかし山は荒れいて由利徹ほかマタギを辞めた者多数。そんななか人食い熊カタミミ出没、賞金10円。銃の弾一発しか持っていかない拘り。一発銀蔵さんと呼ばれる。一発で仕留める。村人の解体。熊の胆(くまのい)、熊の血。、熊の皮。

カタミミの子供が銀蔵さんの家までお母ちゃん探しに来る。このとき画面に飛び出してくる山の掟の巻物、描写は間抜けだがそんな書き物があるのかは興味深く思った。罪作りをした、熊育てて山神様にお返しせんと誓う。孫が命名ゴン太。家のなかを徘徊。灰を被り川でに落下、犬や蛇やアヒルや牛や山羊や蜂と戯れる。このお愉しみショット群が愉しくていい。子熊は可愛い声で鳴くものだと発見。

村の鶏やら喰ってしまって、処分の代わりに客寄せ、一緒に逃げる少年。褒める銀蔵。イルカの歌など挿入するセンスはダサすぎて狂っているが、アウトローで心の通う爺さんと孫は美しい。ゴン太を山へ返し、ついでに孫も旧家から追い出す銀蔵、マタギにするのは止めたのだ。鉱山主のアメリカ人連れてハンターツアー、私有地だから山入るなと云われる。鉄砲売って孫の進学資金。

二年後、大人になったゴン太が村へ出没して人々を襲う。手負いの熊は冬眠しないと噂話にあった。村から乞われて射撃を請け負う銀蔵。銀蔵対熊の対決シーンは意外と迫力があり、雪から突然襲いかかる描写が凄い。熊は着ぐるみなんだろう。銀蔵がゴン太と呼びかけると、子供時分の後足で立ち上がるポーズ取るのが泣かせる。そのように、山の神様殺して自分も殺される。なんでそうしたのか。滅びの美学だったのだろう。それは映画的な詠嘆だったが、現実にそれがいい選択肢なのかは釈然としないという感想が残る。

淳子は家出て鉱山の選鉱場で働く。調べると「採掘した鉱石を有用鉱物と不用鉱物とに分離する作業」とのこと、ベルトコンベアの石を大勢の女が選別作業をしている描写があった。

(評価:★3)

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