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[コメント] ハッシュ!(2001/日)

今日本に橋口亮輔を超えるほどの日常的リアリズムな風景を面白く撮れる監督はいない。と私は思う。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







橋口監督を語るならやはり全ての作品をチェックしておきたいところ。『ぐるりのこと。』だけでなく、今年公開の『恋人たち』もツボにハマってしまって、橋口監督の撮る作品の雰囲気やテーマや主張やら、魅力に惹かれっぱなしです。

ゲイの2人とその2人に「子どもがほしい」と持ちかける女。この微妙な設定の歯車が見事に噛み合った作品ですね。出だしの印象はそこまで良くなく、若干作品に入り込めないと訳もわからず突飛なテーマではあるので取り残されてしまう部分も。 しかし、終盤につれテンポアップ。3人が絡み始めた辺りからの面白さは橋口監督の良さが満載でした。長回しの多様や何でもないシーンを魅力的に映すことなどに関してはやはり図抜けているわ、この監督。「見入っちゃう」とはまさにこのこと。 特に3人が親しみを感じ始めるシーンの心地よさはお気に入り。

ただ、そうは言ってもゲイの2人の部屋にいろんな人が集結するシーンはやはり見ものでありメッセージ性が強い。長回しや演技力が凄いのはもちろんですが、あの構図自体が世間のゲイに対する人々の評価みたいな感じがして、本質が現れている気がした。徹底的に否定する兄嫁、それをなだめる中立の兄、後先考えてないかもしれないが常に応援する姪、噂や情報だけに捉われてしゃしゃり出る彼のお母さん。 結局、今となってはわりとゲイとかオカマっぽい人への抵抗感の無さは浸透してきてはいますが、基本的な構図としては同じように分かれますよね。じゃあ結局愛って何?子どもは愛の象徴?生きがい?深い部分に触れていく。よく出来た作品でした。

スタートからもう少し乗り切れたらもっと評価が上がる作品。たぶんもう一度見て、考えが深まったらもっともっと好きになれる作品。

(評価:★4)

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