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[コメント] ヒア アフター(2010/米)

セシル・ドゥ・フランス演じるマリーと監督をつとめたクリント・イーストウッドの生き方が重なって見えた。
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







○リアルかつ重厚なテーマを取り扱い、その仕事ぶりが高く評価されている。 (マリーは政治経済番組の売れっ子キャスター/イーストウッドは現役最高クラスの社会派映画監督)

○人気・地位があり、愛を与えてくれる周囲の人間もいる。 (マリーにはプロデューサーの恋人がいる/イーストウッドには世界中に彼の作品の信者がいる)

○しかし、ある出来事をきっかけに、それまでの自分の仕事や価値観や生活環境を  否が応でも考え直さなくてはならなくなった。 (マリーは津波で、イーストウッドは年齢的に、ともに本作のテーマである“死”を意識する)

○悩んだ末に、自らがそれまで取り扱ってこなかった題材“ヒアアフター(来世)”をテーマに作品を生み出すことになる。  その作品は周囲の人間を驚かせ、中には拒絶反応を起こす人々もいた。  結果として、人生において少なからぬ影響・ダメージを受けることになる。 (マリーは恋人とキャスターの座を一度に失う/イーストウッドだって、近年の作風を愛してやまない  信者の中には本作に反発を覚える輩もいるだろう)

○孤独を感じ、それでも変わりゆく自分を受け入れながら、ついには愛する人と新しい出会いを紡ぐ。 (マリーはマット・デイモン演じるジョージと出会う/イーストウッドもまた本作で新たなファンを手にするだろう)

“来世”といものは、決して死後の世界の話だけではなく、新しい自分の人生そのものである。それを思い描くのは、他ならぬ自分自身なんだ。人はいつでも新しいチャレンジ、新しい出会い、にときめく可能性を秘めている。

80歳を過ぎて今なお現役。映画監督として新しい題材に常にチャレンジを続け、たくさんの才能と出会い続ける名将は、静かにそう語りかけている。

(評価:★4)

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