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[コメント] ドラゴン・タトゥーの女(2011/米=スウェーデン=英=独)

何度も見返したくなる麻薬的映画。何故か・・
pinkmoon

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







初鑑賞から定期的に6回観ている。なのでレビューをやり直すとともに、この映画の魅力を少しメモ的に整理してみた。

●スウェーデンという国の闇

世界有数の福祉大国デジタル先進国であり、基本戦争には関与せず中立を貫いてきたスウェーデン。住みやすい国ランキング上位くらいの情報しかないが、その国の闇を覗き見する感じだろうか。近年北欧ミステリーというジャンルが確立されるほど、一種独特の世界観(近代的な中に潜む、重厚で脈々と受け継がれてきた普遍的な歴史観とでも言おうか)があり、北欧ならではの寒冷と曇天の中で繰り広げられる業が深い話だからか。

●犬神家バリの閉鎖的豪族での謎解き

基本的にこの手に話には惹かれるのである。豪族が隠し持っているゴシップは妬み半分皆んな興味があるもの。同族経営の翳り中で起きた猟奇的な連続殺人。明るみになるナチ信仰とユダヤ排斥。その過去を暴いていく過程が緻密で精巧で前のめりになる。謎解きのスピード感も気持ちがいい。

●リスベットとミカエル

この映画はリスベットの存在が軸になる。一見、反社会的な弱者のようにみえて、徐々に知的な強者っぷりを発揮していく。服のセンスも銃の扱い方も抜群。彼女といれば人生安心な感じがする。 それがミカエルの危ういキャラクターと相なっていく感じが堪らない。しかしなんて軽率な男なんだろう。未だに犯人宅に単身乗り込んだ理由が不明である。メガネのずらし方はカッコいい。 とにかくこの2人のキャスティングが最高。 特にダニエルクレイグはエターナルサンシャインのジムキャリーと同じでイメージを逆手に取った最高の配役だ。

●バイクがやたらカッコいい

これは蛇足だが、これまでに映画に登場したバイクの中ではダントツにかっこいいのである。ここで言うカッコいいはバイクの良し悪しではなく、劇中の配役とどこまでマッチしてカッコいいのかを言っている。大脱走のマックイーンのドイツ軍用バイク、ブラックレインの松田優作のスズキオフロードなどの事である。華奢なルーニーマーラーが転がすカスタムされたCL300のなんとカッコいいことか。

●ラストの爽快感と切なさ

そして話は謎解きだけでは終わらない。 依頼人とハリエットの再会。圧巻の裏金強奪。そしてラストの切ない分かれ。特に後半に行くに連れてリスベットの女性的な魅力に惹かれていく。純粋さ故に愛する人にはとことん尽くす。だからラストシーンは切なくてなお最高にカッコいいのである。

●ディビッドフィンチャー

これらを一定のテンポで変な強弱を付けずに纏め上げたデビッドフィンチャーはやはり凄い。音楽も一切邪魔をしない。

何回カッコいいを使っただろうか? この映画、やはり一種の麻薬なんだろう。

(評価:★4)

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