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[コメント] オール・ザ・キングスメン(1949/米)

キレのある演出が勝利したGOODな社会派ドラマ
junojuna

 ノワール色の強い社会派ドラマでキレのあるドライなタッチが冴えるロッセンの演出が興味深い傑作である。とりわけマーセデス・マッケンブリッジのタフな女のイメージは映画史的に大きな財産となった。1949年アカデミー助演女優賞受賞もむべなるかな凄味を感じさせる存在感である。また権力の圧倒的な強さをもって恫喝するブロデリック・クロフォードの描写にはその画面に静的なヴァイオレンスを湛えていて目を見張る迫力がある。省略の妙による編集ワークも作家の作劇術が息づいていて映画を躍動させるリズムがひじょうに個性的だ。マッカーシズムに翻弄された作家の一人としてそのフィルモグラフィは苦渋に満ちている。が、しかしその硬派で強面の作風をものとしたこの作家はやはり類いまれな映画人である。

(評価:★4)

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