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[コメント] わが谷は緑なりき(1941/米)

強く逞しい父性がエバーグリーンなGOODホームドラマ
junojuna

 まるでハウス食品の世界名作劇場を見ているかのような懐かしさに包まれた至福の時間であった。偉大なるジョン・フォードはその多くの西部劇でも描いてきたように弛まざる父性というものを映画に謳わせて感慨深く、またモニュメント・バレーのような背景を渓谷という広大なイメージの広がる舞台にうつしかえたドラマにはやはりフォード映画に脈々と受け継がれる血筋が通っていて熱くなる。昨今の映画からは失われて久しい父性という逞しき源泉。そして男が男であるために噛みしめるストイシズム。しみじみと映画は語りゆくエバーグリーンな叙情である。思えばわが父の書斎にはこの「わが谷は緑なりき」のビデオが蔵書されていた。ついぞこれまでに見る機会はなかったが、わが父が家庭とそして息子とどのように向き合ってどのように生きるべきかを思わせたであろうかと、今家庭を持つわが身にとって、この映画は静かな感動を訴えて止まない。それがどんなに甘い感傷であったとしても、そこにはたまゆらの響きがある。世界映画遺産として登録したい。

(評価:★4)

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