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[コメント] 電気屋敷(1922/米)

キートンギャグを生み出す得意の仕掛けものによる映画的装置も単調にしてインパクトに欠けるBAD作品
junojuna

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 もはやギャグによる笑いというよりもいかに自動機械による美術開発の妙を見せるかという、あらぬ方向に力が入ってしまったのではと思わせるキートンのギャグはいたって単調な作品である。確かに美術担当フレッド・ガブリーの頑張りは認めたいが、これでは昨今のCGマッチョな技術偏重映画にも似た采配ミスというものだ。しかし、この時期のキートンはとにかく悲観してはすぐに死にたがる。本作では、電気技師として雇われたキートンが、その電気屋敷の暴走ぶりに腹を立てたクライアントに責め立てられ、その出来損なった自らを悲観してクライアントの邸宅プールに身を投げるが、ここでもやはり死ぬことができない。そのオチについてはとやかく言うまでもないのだが、ここで気になるのが、キートンの自殺描写は、そのキートンのストーンフェイスがあまりにも切ないので、一層悲劇的な風情を漂わせて一向に笑えないという重さである。話があらぬ方向に行くが構わぬ、徹底的にナンセンスを求道したキートンであったが、純粋なペーソスものをやらせたらこれはきっとチャップリンの比ではなかったはずだ。残念でならない。

(評価:★2)

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