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[コメント] キューポラのある街(1962/日)

この映画の貧しさと現代の貧しさとでは、明らかに質が違う。さらには、父親の一言には驚いた。
青山実花

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「戦争でもおっ始まりゃあ、また鋳物工場は景気が良くなる」と、自分の不甲斐なさを子供たちから責められた父親が、他意も無さそうにそう答えた。60年代の戦争に対する考え方ってこんなものだったのかと、少しショックを受ける。戦争映画ならいざ知らず、市井の人々を描いた作品でこんなセリフ、現代では考えられない事だろう。さすがに子供たちは、そんな父親を「自己中心主義」と責め立てているので、「戦争は良くない事」という認識は若い世代には浸透しているようではあるし、これは父親の無知無学から来ている言葉なのであろうが。

朝鮮人の家族が北に帰る時、人々に送られる場面は、当時は日常的にあった事なのだろうか。母親恋しさに途中で戻ってきて、母親の再婚を知らされたサンちゃんの嗚咽には胸が締め付けられた。

吉永小百合のキッとした目が良い。観る前は、貧しくとも爽やかな青春物だと思っていたので、酒に薬を入れられ、複数の男に乱暴されそうになったり、ビリヤード場でもチンピラにキスされたりと、意外とドロドロしてるのねって感じ。

(評価:★3)

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