事件は至極単純。大統領がいて、テロリストがそれを狙う。特に謎があるわけでもなんでもない。ただ、もったいぶり方がうまいので最後まで見せられてしまうが、最後に残るのは何とも言えぬ拍子抜け感。

そして、全編に漂う「つくりもの臭」のせいで、どこか一歩映画の世界に入り込めない。バーンズ（デニス・クエイド）のレーサー顔負けのドリフトテクニックはまあいい。映画だから。しかし、あれだけの事故を起こしてピンピンしてるって、お前はジョン・マクレーンか？最後の事故にしてもテロリストがあれだけ重症なのに、大統領だけほとんど怪我してないっていうのも都合のいい話。

また、テロリスト側の動機がほとんど描かれていないのも、物語に深みを与えていない。バーンズの同僚テイラー（マシュー・フォックス）にしてもなぜテロリストに通じるようになったのか。ただ単に彼が裏切り者だったら、こっち（＝観客）が驚くだろうという、制作者側の動機に基づいているような気がしてならない。

24のようなドラマでやる分には良かったかもしれないが、映画でこれではちと物足りない。90分と短めの上映時間だったのがせめてもの救いか。