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[コメント] 28週後...(2007/英=スペイン)

映画の舞台設定が非現実的であるため、非常に白けてしまった。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画『28日後』の続編として制作されたこの映画の舞台は、前作で壊滅した英国である。

英国を壊滅させた謎の凶暴化ウィルスの爆発的感染拡大から28週間後、すべての感染者が餓死したことを受け、米軍の保護下の元、英国民が復帰を開始し、文明が再興されつつあるという環境で物語は進行する。そんな中、ある日ゴーストタウンから生存者が発見される。彼女は保菌していても発症していない無自覚感染者であり、大方の予想通り、彼女からさらなる災厄が巻き起こって‥というお話。

まず、英国民復帰の開始タイミングの早さのあり得なさに驚いた。保護地区を一歩出れば、ウィルスを保有している死骸がそこかしこに転がっている状況である。まず、そんなところに、ほっといたらナニをしでかすかわからない「人間」という、やっかいな生物を復帰させること自体あり得ない。人間の復帰を行うのであれば、生活圏外に十分マージンを取った厳重な滅菌措置は基本中の基本だろう。

さらに、お子様二人が米軍の監視下にある保護地区をやすやすと抜け出して、立ち入り禁止区域に入れてしまうこともあり得ない。この映画のように、まさに「蟻の穴から堤が崩れる」という状況であれば、目視だけの監視で済ませるだろうか?住民全員の体内に IC チップを埋め込むなり、監視装置を使うだろうと思う。

また、お子様の父親は地区の統括責任者という設定であるが、いくら責任者といえども、民間設備ならともかく、軍の設備にすら無許可で入れる権限設定はあり得ないだろう。しかも保菌者を保護している部屋に見張りの一人もいないというあり得なさである。

極めつけはお子様二人の頭の悪さである。どんなに頭が悪いからと言って、国家を滅亡させたウィルスが残っている地区に足を踏み入れることがナニを意味するかくらい、あの年頃なら十分理解できるはずだ。結果大災厄を引き起こした元凶であるお子様達がギャーギャーわめいたり泣いたりしても、全く同情出来ないし、むしろ「早くバチが当たれ」とまで思えるほどだ。

こうした設定のあり得なさが相まって、全く面白いと思えなかったし、むしろ見ていて腹が立った。過去のホラー映画へのオマージュとも取れる画がいくつもあるけれど、オマージュの元ネタ達は荒唐無稽な話を描きながらも、基本骨格はしっかりしているからこそ、いまだに名作の誉れ高いのである。

エンディングは、まあまあアリかなと思えたが、なにしろ映画の枠組み自体を許容できなかったので、全く面白いと思えない。前作も結構ひどかったが、こちらは論外だ。

〜〜〜

蛇足ながら、主人公姉弟の姉の方が、若き日の美輪明宏(丸山明宏)そっくりでキモチワルかったこともまた、私を萎えさせた。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ebi 氷野晴郎[*] 狸の尻尾[*]

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