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[コメント] デビルズ・ノット(2013/米)

「法廷劇」と呼ばれてしかるべきシーン配分を持つものの、被告・弁護人・検事・陪審員のいずれにも主要キャラクタを配置しなかったため間の抜けた作劇が強いられている。もっとも、弁護人にもなれない「調査員」コリン・ファースを主人公に置くことで「部外者」の機微を描く企みだったのかもしらないが。
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冤罪の疑いが濃厚な実在事件を題材に採りながら、どうもアトム・エゴヤンの演出は事務的に終始して、いかにも迫力に欠ける。換言すれば、この映画は官憲司直に対する怒りも、被害者・遺族へのシンパシーも、真実を追究する報道精神も、さらには興味本位の下世話な好奇心すらも多く持ち合わせてはいない。齊藤潤一阿武野勝彦約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』の筆圧はやはり尊かった。

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』『幸せの始まりは』を見た記憶が抹消されない限り、私がリース・ウィザースプーンのファンを退く日は訪れないだろうが、ここで田舎町の主婦に扮してみせた彼女の容色の衰えにも目をぱちくりさせずにおれたと云ったら虚偽になる。もちろん、それは役柄に沿うべくメイキャップ・ヘアスタイリング・衣裳によって「作られた」衰えでもあったはずだ。だが、それにしたってあんなにむやみに下顎を尖鋭化させなくてもよいじゃないか。ひどいや。ひどすぎるや。との恨みは骨髄に徹しがちである。しかし、ともあれ、ここでも母と息子の「今生の別れ」が「窓越し」で演じられるということは特に記しておく価値がある。

(評価:★3)

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