[コメント] オン・ザ・ロード(2012/仏=米=英=ブラジル=カナダ)
この程度の社会不適合者なら古今東西いくらでもいたはずだ。それでもディーン・モリアーティ/ニール・キャサディがスペシャルだったのはやはり彼が何かスペシャルな魅力を持っていたからだろうが、このギャレット・ヘドランドは単に大人になりきれないピーターパンおじさんとしてしか造型されていない。
ジャック・ケルアックおよびその周辺の固有名詞を頭から取り払って見たとき、果たしてこの映画にはどれほどの面白さが残っているか、甚だ心許ない。あるいはエリック・ゴーティエのカメラにうつつを抜かして二時間二〇分をやり過ごすこともまったく不可能ではないかもしれないが、撮影にしか讃えどころを見出だせないような映画がポンコツであることは云うまでもないだろう。もちろんこの映画がそうだと断ずることまではしないけれども、稀代の文系アウトローを出汁にして半端な教養小説が語られてしまったかのような失望感は残る。
もっとも、ヴィゴ・モーテンセンとエイミー・アダムスはさすがに役者が違うといった風格で最も興味を惹くキャラクタリゼーションの夫妻を演じているし、予期せぬところで久方ぶりにスティーヴ・ブシェミとの再会を果たせたのも嬉しい。音楽の趣味がよいのも救いだ。
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