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[コメント] きみがくれた未来(2010/米=カナダ)

巻頭の激しいヨットレース、ラモーンズ“California Sun”に乗せて描かれる泥遊び、手に汗を握ったり微笑ましく眺めたりするべきそれらの場面でほろほろと涙が零れてしまうのはどうしたことだろう。私が狂っているだけなのか。いずれにせよ、そういう瞬間を持っているのはほとんどアメリカ映画だけだ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ザック・エフロンがまぎれもなく映画スターであると思えるのは、たとえばその身体性だ。彼が両手に持ったごみ箱の蓋を叩きながらガチョウを追いかけ回す、たったそれだけのシーンに触れただけで「ああ、これが映画だ!」という充実感に包まれる。それはなぜか、ということについてはもうこれ以上言葉にはできない。彼の身体が「映画」なのだと云うしかない。顔もまたいい。私の男優の好みからすればスウィートすぎる顔立ちだけれども、その笑顔が何とも感動を誘うのだ。映画なんて所詮は嘘、フィクション、作りごとだなんて百も承知であるにもかかわらず、彼と弟のチャーリー・ターハンが笑い合うのを見ると、やはりそこには真の兄弟愛が通い合っているとしか思えなくなってしまう。

初めはずいぶんいいかげんな奴だと思われた同僚オーガスタス・プリューを感動的に変貌させるのも、冷静に考えれば「お約束」の範疇なのだけれども、私はやっぱこういう展開にグッと来てしまう。軍隊に入って死んだ友人の霊と出会う場面なども心穏やかに見ていることはできない。エフロンとアマンダ・クルーのふたりで作るシーンもロマンティックな雰囲気をよく出せている。よい映画とは、よいシーンがたくさんある映画のことだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)あちこ[*]

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