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[コメント] トラブル・イン・ハリウッド(2008/米)

原作者の実体験から想を得た物語だというが、なんともスケールが小さい。最優先にすべきは面白さなのだから嘘でも何でももっと無茶苦茶なコメディにしてほしい。もしくは実話の度合いを高めて、全員実名で登場するような下世話映画に振り切るか。でもまあバリー・レヴィンソンとしては平均点の作かしら。
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ロバート・デ・ニーロロビン・ライトキャサリン・キーナージョン・タトゥーロスタンリー・トゥッチショーン・ペンブルース・ウィリス、みんな好きな俳優だけれども、わけてもマイケル・ウィンコットがチャーミングでいい。ただし、よくこれだけのキャストを集められたなと感心するし嬉しくもあるが、肝心の映画の出来がこの程度では主演級俳優の無駄遣いとの謗りは免れがたいだろう。内幕物好きのデ・ニーロが製作に名を連ねてまでしてこういう映画を作り、またスターらが遊び心から出演を承諾する気持ちも分からんではない気がするが。

さて、ここでデ・ニーロが抱える問題は大きく分けて「『フィアースリー』の再編集」「前妻ロビン・ライトとの関係」「ブルース・ウィリスのヒゲ」の三点である。これらが一本の時系列上でそれぞれ不規則に前景化し、デ・ニーロの悪戦苦闘ぶりが演じられる。そこにこのコメディの眼目があるのだけれども、どうにもその物語に充足感を覚えないのは、やはりスケールが小さいためだ。もちろん「犬殺しのカットをどうするか」とか「主演者のヒゲをどうするか」といった「下らない」問題にいい大人たちがあたふたすることの可笑しさは理解するし、一方で同時に、興行を鑑みればその「下らない」問題も決して看過できないという切実さをもって可笑しさを裏打ちしようとする作劇もまた理に適っている。要するに「スケールの小ささ」こそが狙いだと主張するのならば、それは確かに合理的なコメディ戦略であると認めざるをえない。しかしながら、やはりもうちょいとばかしプラスアルファーがあってもよくはないか。

たとえば。ここでは先に挙げた三つの問題が本質的には無関係のものとして扱われているが、そうではなく、一見すると無関係に見えるそれらが実は互いに密接に絡み合っていて、クライマックスにおいて一挙に解決する(あるいは、解決できないことが確定してデ・ニーロを破滅に導く)とか。そのような作り物くささは私が嫌うところのものでもあるけれども、まあその程度のサーヴィスがあってもよろしかったのではと思う。

(評価:★3)

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