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[コメント] ミラクル7号(2008/香港)

大傑作『カンフー・ハッスル』の後ではいかにも小品のファミリー映画といった感じだが、しかしチャウ・シンチーの「ベタをやるんだけど逸脱してしまう」パワーというか因果は健在。
MSRkb

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 破綻しているとまではいかなくても、やはり構成に歪なところのある映画。邪悪ドラえもん→夢か!→駄目犬→トイレ虐待→ウンコまみれ(その後のナナちゃんとの和解の流れもテキトーすぎて最高)、とか。あるいは終盤の親父死亡のくだりやエピローグの「地平線から走ってくるナナちゃんの群れ」(侵略開始だ!)とか。でも歪なところがある映画って、なんつうかその作家の個性というか変態性みたいなものがわりとダイレクトに出てきて妙な豊かさになってたりして、とても好きなのです。

 あの親子の住む家の外観は素晴らしい。信号がチカチカするとことか。あと親父が工事現場で落下死するところの流れも素晴らしい。あのボンベの重量感の暴力性! シンチーが落下し、現場監督が後ろの騒ぎに気づいて「どうした?」と歩いて行き、すぐに事態の深刻さを把握して走り出すとこ、あの「大変なことがカメラの前で起きてしまった」的迫真性! ほんとドキドキするほど魅力的……なんだが、ファミリー向けを狙った映画でやることじゃないよね。でもそこがいい。

 そういうのは抜きにしても、「親子でゴキブリ潰しゲーム」はほんと名シーン。ストレートに。ああいうのをサラッと見せられるから、チャウ・シンチーは絶対的に信用できるのだ。

(評価:★3)

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