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[コメント] タイヨウのうた(2006/日)

とことん下衆な物言いをしてしまえば、XPの症状のほんの一面(紫外線を浴びられない)に焦点を当てたことが映画的に「ハマった」ということなんだろう。それでも、この映画が病気そのものや死ではなく人間の「生」を描こうとしていることに感じ入る。
林田乃丞

 父親役の岸谷のキャラクタが映画を救ってると思う。仮に担当医の山崎一と配役が逆だったら(つまり父親が実直で生真面目なサラリーマンとかいう設定だったら)とんでもなく悲惨な物語になりそうだ。このあたりのサジ加減を見ても、映画が類型的な難病モノに陥らず、あくまで「個人」を描こうとしている姿勢がよく解って好感が持てた。

 そんな岸谷を筆頭に達者な脇役陣の中で、みなさんおっしゃるように主演のYUIの芝居は完全に浮き上がっている。ただ、それが悪いかというとそんなことはまったくなくて、芝居のぎこちなさがそのまま「学校に行けない子」のコミュニケーションのぎこちなさと重なって、妙なリアリティが現出しているように感じた。「歌は歌えるけど芝居はヘタ」なYUIという女のコと「歌は歌えるけど人と話すのはヘタ」な薫という女のコが見事に同調して見えたのだ。これ、すべて計算ずくで彼女をキャスティングしたんだとしたら、かなりすごいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] 水那岐[*]

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