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[コメント] 戒厳令(1973/日)

マゾ〜☆
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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クーデターの芽生えとは何であるか?ということになったとき、私たちは的確な答えを返すことが難しい。本作は、少なくとも一つの側面を、北一輝のクーデターを、マゾヒズムの観点からアプローチしている。

北一輝は後天的にマゾであり、「父親→自分(子供)」の階層構造が安定のようである。しかも、その安定の必要条件として自罰がある。そこが、「天皇→自分」の構造への固執、クーデター心理の芽生えに繋がったのではないか、というのが本作の見解だと思う。

北は、子供の位置に居ることがマゾ的に安定するから、自分の位置を脅かす自分の子供を嫌うし、妻に母役を期待する。 でも、自分も親になってみたいような〜、だから「天皇」になる夢をみる。でも、自分=親は、やっぱり大恐怖であったから、とりあえずリストカットで安心な子供に戻ろうとする。剃刀をあてることで、「危険でいっぱい」の状況を作り出し、戒厳令をしく。戒厳令下でこそ安定するの繰り返し。北が、個人的な安定(マゾヒズム)を、天皇とに当てはめていたとしたら、何が起こったのか、ちょっと分かるような気がする。情熱にも納得がいく。ことの発端を、難しい思想的何かだと指摘するよりも、腑に落ちる。

こういう趣味の人が、たまたまカリスマ性を持っていて、得体の知れないエネルギーを放出したりすれば、ドミノ倒しで絵が出来てしまうように、一つの駒からクーデターが起きることがあるかもしれないね、みたいな。誰にとってもすごい不幸だな、と本作を観ていて感じました。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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