[コメント] ザ・ワイルド(1997/米)
ボールドウィンがアンソニーの人間性を殊更に批判する。成長の端緒となるようなキャラクターの瑕疵を見つけることで、作劇の標準的な手順を彼は律儀に踏もうとする。ところが、われわれはハンニバル・レクターのMAN vs. WILDしか期待していない。当人もそのつもりだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ハンニバルの人間性を批判してもらちが明かないのは当然で、アレックの説教とハンニバルの超人性は交わることなく並走して、物語は自らがはまるべきジャンルを見失っている。アレックに対する猜疑心がハンニバルに起こるにしても、そもそもがかかる感情を知覚する器官の発達がないから、猜疑が起こったところで挙動に変貌がない。動揺があるとすれば、この新たな感情についての戸惑いが見られないこともないが、仕事にはまるで影響がない。アレックに対する一貫性のない対応によく現れているように、フッ素加工とも言うべき人間の質感が正気を保ったまま分裂する精神を描写している。
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