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[コメント] 白い馬(1952/仏)

「白い馬」だけが白いのではない。むしろ積極的に画面に白い空間を導入することで、純粋さとしての白を作品の世界観としている。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「白い馬」が、離れていた仲間の群れに戻ると新しいリーダーが居て、決闘をするシーンでは、どちらがどちらなのか識別できないくらいだ。だが、少年のかけた紐が、「白い馬」を特権化している。紐で繋がる絆、という点で、『赤い風船』と妙な符合が見られる。

決闘に敗れた「白い馬」の脚についた血の黒さ。それを癒す少年。少年の服も白。「白い馬」を追う大人たちの乗っている馬も白馬であったりするのだが、鞍や轡や手綱などに覆われて、その体の白さの純粋さ、清潔さが損なわれている。

こうして全てを視覚で納得させる演出が光るだけに、言わずもがなの説明的なナレーションが煩く感じられて仕方がない。児童文学的な作品であるだけに、主人公の少年と同年代の子らにも分かるようにと配慮したのかも知れないが、それならば、子供にも分かる「画」に挑戦してほしいところ。

「白い馬」と少年を脅かす大人たちも、児童文学風のステレオタイプな悪人でしかなく、ラストシーンで海まで少年らを追跡してくる彼らの行動自体、大人げない。「馬はお前にやるから、帰って来い!」と叫ぶ姿が間抜けすぎる。

(評価:★3)

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