あまりにも評判がいいのとIMAXシアターでの上映という誘い文句につられ、重い腰を上げてようやく鑑賞。バットマン・シリーズはティム・バートン版以来の体験とあってワクワクしていたのですが、満たされぬまま帰途につくことと相成りました。

　まず、カメラ動きすぎじゃないですか？　あの無意味にだだっ広いバットマンの地下アジト（だったかな？）で３人が額を寄せ合い、会話をするシーンで、カメラは３人を背中越しに捉えつつグルグルと３周ぐらい回っていましたが、あれ何か意味あるんでしょうか？　こっちは目が回っちゃいましたよ。撮影技法の誇示にしか見えなかったんですが。うるさいカメラと言えば『ブレア・ウィッチ』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』あたりを思い出しますが、あれには意図があるから納得できるんですけどね。

　カット数の多さにも辟易しました。「アクション映画なんだから、スピード感を出すために１カットの秒数は必然的に短くなるじゃないか。」友人の解説はなるほど納得できますが、アクションではないシーンでもせわしくカット割りをしてましたよ。あれじゃあ登場人物の心情をゆっくり汲み取る作業なんて私にはできません。

　物語の内容にも疑問符ばかり。病院でのコスプレは笑いをこらえるのに苦労しましたが、他の患者が避難をする中、ハービー・デントだけが取り残されているのは何故？　ジョーカーの管理下にあったから？　じゃああれだけの爆薬をバレずに仕掛けたのは誰？　ジョーカーの手下？　この映画では仲間の裏切りが多い（と言うか多すぎる）んだけど、誰もジョーカーのことは裏切らないんだ？　何だか都合がいいなあ。

　フェリーのエピソードも然り。誰もが街から脱出したいときに、そんなに囚人の脱出を優先する必要があるんでしょうか？　一般市民と囚人という提示もあまりに唐突であり極端で、違和感がありあり。私はちっともノレなかったよ。

　やはり、私が観る映画ではなかったのです。普段はこんなアラ探しなんてしないし気にもならないのに。カー・チェイスやひっくり返るトレーラーにドキドキワクワクできるまでには、もう少し時間がかかりそうです。