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[コメント] 100,000年後の安全(2009/デンマーク=スウェーデン=フィンランド=伊)

淡々とした撮り口に最初の20-30分くらいは正直眠かった。ところがぽつりぽつりと語られる関係者の発言内容に、戦慄し、覚醒し、深く深く内省し、見終わったあとでは日本人としての誇りが揺らいでいた。
ロープブレーク

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原子力発電に依存するということは、以降10万年先までの未来の人類に責任を持つということだ。フィンランドの原子力発電関係者がそのような問題意識を共有していることに驚いた。無害化に10万年というのはおそらくプルトニウム239の半減期2万4千年から計算された概算値なのだろうが、日本の原発当事者なんて、人の噂も75日、のど元過ぎれば熱さ忘れる、危ないと思うから危ないんだ、的な発想でしか原発の安全性を考えてこなかったことが311で露呈してしまった。10万年先まで危険性を伝えるにはどうすればよいかを真剣に対策を考えるフィンランドの原発当事者の議論に、彼我の文明の違いを感じてしまった。311の整然たる態度を世界に賞賛された日本人だけれども、その誇りは刹那にとどまる。世界への責任、未来への責任と家族への責任を鼎立させること、それが人災たる311を起こしてしまった日本人が新たに自覚し背負わなければならない業なのだ。

ドキュメンタリー映画としては正直★3つくらいが妥当かもと思うけど、フィンランドのオンカロ関係者の人類に対する責任感に★4とします。 (2011/7/1 渋谷UPLINKにて劇場鑑賞)

(評価:★4)

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