[コメント] もののけ姫(1997/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この映画の、2時間の枠では説明し切れていないエピソードも少なくないし、見終わって欲求不満に似た気持ちも起こさせる。
しかし全体としてみたとき、強烈なインパクトは間違いなくあった。
一貫性に裏付けられたメッセージはどうか?乱開発を続ける人間に対する自然の驚異を表す「警鐘」のようでもあるし、自然の驚異に屈することなく働き生きる人びとへの「賛歌」のようでもある。
つまるところ、「森と人間がともに生きることはできないのか」という問いに対して、この映画だけでは答えていないように思えるのだ。
私には、まるでこの映画は、三部作の真ん中、第二部にあたるものに思えた。
つまり、この映画の前の「世界」=アシタカの部族が北に追いやられたり、エボシ御前が製鉄を生業とする集団を率いるまで、そして怪しげな坊主と帝なんかとのかかわり、が第一部としてあり、これが第二部であり、これに続く物語があって、完結するような気がした。そう考えると、この映画だけでは答えがないのも当たり前かもしれない。
だからといって、『スター・ウォーズ』みたいに後からぞろぞろつくられるのもたまらんものがあるが、そういう雰囲気を漂わせながら、スパッとこの映画で撮り切った宮崎駿は、やはりえらいと思う。
それとこの映画には、手塚治虫の「火の鳥」の影響が随所にあるのではないだろうか。中央権力(朝廷)に迫害され北に追いやられた古い一族。不老不死の力を持つとされる超自然的な存在と、それを執拗につけねらう権力者。「権力者」への反発など。
このように、色々なことを思い巡らせ、それでいて見ている時には本当に映画の中に引き込まれる迫力と面白さ、映画としての完成度もきわめて高い素晴らしい作品ではないだろうか。
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