自分にも見覚えがある大阪のスポットが随所に出てきながら、不思議なほどにリアリティを感じなかった。

東京モンから見ればこれはすべて大阪の町なんだろうが、キタやミナミ、天王寺界隈などでは、それぞれ微妙に雰囲気が違う。そういう違いにはまるでこだわらず、「これが大阪やろ」という安易なロケが見え見え。

だいたい、梅田のスカイビルがああいう風に見える川原というのは、キタの方だし、その辺は、映画に描かれている池脇千鶴の日常の生活風景とは、やや趣が異なっているんじゃないかな。

その辺がいささか腹立たしく感じたのは、単なる東京に対する僻み意識だとは思うが気になったのだ。

ただ、池脇千鶴はじめ、沢田研二、田中裕子らはいずれも好演しており、それだけに背景のいい加減さが目についた。