[コメント] 狼よ落日を斬れ 風雲・激情篇 怒濤篇(1974/日)
原作も文庫本3冊に及ぶ長さで、大河ドラマにしてもおかしくない盛りだくさんの内容。
歴史に名高い事件だけを上げても、池田屋騒動から京都見廻組の結成、鳥羽伏見の戦い、官軍による東征、江戸城無血開城から徳川慶喜の蟄居、上野山の彰義隊の決起、戊辰戦争、函館戦争、文明開化から藩閥政治、そして西南戦争とこれだけある。
劇場には公開当時のポスターが貼ってありそこには、若き日のスターたちの顔写真と共に「監督:巨匠 三隅研次」の文字。最初は、ひやかし半分で「凄いなあ」と思ったが、確かにこれだけの物を見せられては、巨匠だと納得せざるを得ない。
映画も、至極まっとうで、照れくさくなるような幕末熱血青春剣豪時代劇かと思ったほどだが、きっちり生首が宙を舞い身体が真っ二つに一刀両断されるシーンなど、独特のシーンも入れており、ああ、やっぱり三隅監督だと思わせた。
俳優たちも、今となってはいずれも大ベテランばかりだが、その若々しい姿が見えて、懐かしいとともに、特に、松坂慶子は、凛々しさを堪能させる若侍姿から艶やかな芸者姿、清楚な町娘、上品な色気漂う新妻、とその魅力が全開で、実にうれしかった。彼女だけで☆一つ献上したい。
肩が凝らない、娯楽大河時代劇として十分楽しめる一本。
☆☆☆オマケ☆☆☆
鳥羽伏見の戦いのシーンのサントラはどこかで聞いたことがあるなあ、と思いながら見ていて、はたと思い出した。
それは伊福部昭が音楽を手がけた特撮映画『サンダ対ガイラ』の中で出てきた。自衛隊が新兵器・メーサー殺獣光線でガイラと戦うシーンのサントラとほぼ同じだったようで、こんな所で、と思うと同時に、意外に違和感もなくてちょっとびっくりした。
音楽担当が同じだと、意外なところで映画音楽の使いまわしがあるのかも、と思うとなんだかうれしいような。
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