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[コメント] 散歩する惑星(2000/スウェーデン)

本作のカメラ位置は、ほゞウエストレベル。ちょっと低い。またワンカットのみ後退移動のカットがある(あとはフィクス)。包装用紙に包んだ十字架を持った男が、駅のホームを歩く。これを前方から撮った場面。彼の後ろから付いてくる死者。構図を変えずに、後退移動する。
ゑぎ

 この場面(ホームが後方へ延びている)のような縦構図志向の画面ばかりで、屋内シーンでも、ドアや窓を使って奥行きが強調されている。ただし、寄り気味の構図が多い。例えば、地下鉄で皆が唄っている場面は、かなり寄ったカット。それと、登場人物は皆白塗りのメイクをしており、ちらちらとカメラ目線を入れて来る。これで、メタフィクションの感覚が醸成される。あと、本作の特徴として、エロ志向がある。初老の女性は胸をさらけ出すし、ベッドで騎乗位の男女を、女の背中側から 撮ったカットなんかもある。

 見終わってから調べてみると、多くの方が指摘されているようだが、アリ・アスターの『ミッドサマー』と類似の儀式(崖上の儀式)が本作で既に描かれており、これは知らなかったので驚いた。全編で一番驚くべきカットは、矢張りラストカットだと思うが、十字架や、死者の追従や、崖上の儀式についても収斂する場面であり、全編で一番スペクタキュラーなカットにもなっていて、とても満足感がある。

(評価:★3)

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