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[コメント] イゴールの約束(1996/仏=ベルギー=ルクセンブルク=チュニジア)

本作も「お金」の映画。金の取り立て、盗み、口止め、買収など金銭授受のバリエーションが延々と描かれる。あるいは占いの映画。
ゑぎ

 不法移民の一人で、本作のヒロインと云ってもいいアシタが持っている、奇妙な木の人形。病院の掃除婦に連れて行かれる占い師の場面。砂と石を使った占い。あるいは、乗り物の映画でもある。父、オリヴィエ・グルメ のバン(車)、主人公イゴール、ジェレミー・レニエの乗るスクーター、友達と乗るゴーカート。

 画面造型の特質は、ハンディカメラのパンニング主体で押し切って、決して切り返さないカメラワークだ。それでも、ポン引き(カット・ズームアウト)する繋ぎはある。例えば、ゴーカートで遊んだ後の、家の前の舗道のカットが、フルショットから、俯瞰のロングショットに繋がれる部分等。こゝぞ、という場面では、滑らかな時間の継続(しかも魔法のような視点移動を兼ね備えた)繋ぎへの欲望が立ち上がるのだ。

 終盤、修理工場に隠れた後、探しに来た父に見つかるが、アシタが殴って気絶させる、さらにチェーンで身動きできなくする、この場面は笑える。イゴールと父親の関係性の変貌も、こゝまで来ると、コメディであり、他方、ドキュメンタリータッチと称される意味不明(?)の分類が瓦解する面白さでもある。

(評価:★4)

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