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[コメント] MONOS  猿と呼ばれし者たち(2019/コロンビア=アルゼンチン=オランダ=独=スウェーデン=ウルグアイ=スイス=デンマーク)

この場所は山頂なのか。雲海が下に見えるので、かなりの標高なのだろう。コンクリートの要塞?、大きなトーチカのような建物のある平坦地でもある。
ゑぎ

 少年少女たちのシルエットのロングショット。何をやっているのかと思っていると、ブラインドサッカーだ。これも訓練なのだろう。このオープニングで既に、強烈に日常と異なる感覚を醸成する

 米人女性(博士)の人質−ジュリアン・ニコルソンを警護する7人の子供兵士たち。定期的に?メッセンジャーと呼ばれる上官がやって来て、人質の生存確認用ビデオを撮影をしたり、兵士たちのトレーニングを指導したりして帰る。この男が、小人症と云っていいのか分からないが、低身長の男で、この映画の異様なムードに貢献する。メッセンジャーが帰ってしまうと、子供たちは、リーダーのウルフによって、ある程度統率されているが、かなり自由、あるいは乱れているようにも見える。ウルフと少女兵のレディはパートナーだが、ウルフはランボーともキスをする。ちなみに、このランボーという兵士は、ウルフが「弟のようなものだ」と云うし、中盤ではレディと寝る場面もあるので、少年兵として描かれていると思っていたが、ルックスは、女性みたいに見え、性別が気になった。見終わって、IMDbで演者を調べると「actress」とある。また、後半はランボーの行動にフォーカスされる展開となることもあり、7人の兵士のうち、あえて一人主人公をあげるとすると、ランボーと云えるだろう。

 さて、全体に荒削りだが(そこが荒々しく見る者を揺さぶるところでもあるが)、瞠目するシーン/カットの連続だ。特筆すべき事柄は、沢山あると思うが、厳選して書いておく。まずは、祝祭の後、興奮した少年兵ドッグが機関銃を乱射するシーン。こゝ怖い。これにより、メッセンジャーが置いて行った乳牛を殺してしまう(こゝから部隊が崩壊していく)。続く牛の解体。また、敵軍からの攻撃シーンは、戦闘場面をほとんど割愛し、少女兵スウェーデンによる、人質の博士の監視に尺を取る。このシーケンスの最後で、出口を開けると、そこはジャングル、という場面転換の演出がある。これには唸った。以降、ジャングルが舞台となるのだ。ジャングルでの博士の様子を映す演出はかなりシビアで、藪蚊か何かの虫に襲撃される見せ方が凄い。さらに、激流の中、ランボーとビッグフットが流されるカットが凄い!命懸けの撮影だったんじゃないか。結局、誰が助かったのか、誰が生きているのか、曖昧な帰結。このエンディングの宙ぶらりん感も良いと思う。あと、異様な雰囲気を盛り上げることについては音楽の効果も大きい。

(評価:★3)

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