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[コメント] 彼女が好きなものは(2021/日)

本編クレジット順の通り、神尾楓珠が堂々たる主役。出番の尺だけなら、山田杏奈は助演と云ってもいいが、そこは流石に彼女の存在感も際立っている。
ゑぎ

 役者の感想を先に書くと、神尾の親友の前田旺志郎は、今後も永遠に高校生役ができるのではないかと思うぐらいだ(なんなら中学生役でもOKかと)。あと神尾と前田のクラスメイトだが、ちょっと不良っぽい、三浦りょう太も雰囲気があっていいと思った。こゝに神尾の年上の彼氏役、今井翼を加えた5人が主要人物と云っていいだろう。

 本作は屋内シーン(教室シーン含めて)は今一つだが、屋外シーンはどれもなかなかいいと思った。神尾と山田が、年上のカップル、三浦透子渡辺大知に会う、池袋のシーン(アニメイト前からサンシャイン水族館)、高校生たちだけのグループで行く遊園地(よみうりランド)、あと、これも三浦と渡辺と一緒に行く温泉施設(これどこ?)など。とくに、遊園地のシーンは、意外な展開も見せて楽しい。観覧車の中って、普通に撮ると、絶対に内側切り返しになるのがいい(肩なめ切り返しじゃなく)。

 さて、この映画、特に前半は青色のサインが多い。例えば、サンシャイン水族館の「天空のペンギン」から、神尾の自宅の熱帯魚(ニモ、カクレクマノミ)の水槽に繋ぐ、青の連携。神尾のLINE相手の大学生、ミスターファーレンハイトが着ている青い上着。温泉施設のシーケンスで、神尾が悲痛な表情で走る仰角カットも、その後景の天井が青い。あるいは、神尾も今井も青系の浴衣を着ているなど。何を象徴しているか、邪推してしまうじゃないか。

 また、ちょっと気になったことを書いておくと、上に書いた、ミスターファーレンハイトが自宅内に出現する見せ方は、どれもイマイチだと思った。あと、後半が、理屈っぽい。体育授業の前の着替え中のシーン、そういう目で見てない、と云っても、男子が女子の更衣室に入って、同じことが通るかよ、みたいな正論も理屈っぽいが、この後の事件がきっかけで、まるで教育映画(あるいは、コンプラ研修ビデオ)のようになる。病室での母親−山口紗弥加との会話も、私は見せ方が、くどいと思ったし、体育館での表彰式の、山田の演説もくどい。こゝで、フラッシュバックを入れるのは、やめて欲しいと思いながら見た。

 ということで、私としては、もう少し簡潔な見せ方を志向して欲しいと思う部分もあるが、題材に対してとても真摯な作品ということで、心打たれる人が多いだろうとは推測する。それと、キャッチーな科白も沢山あるが、これは、原作のまゝなのかな、と思う。「摩擦はゼロとする」という条件。「ホモ」と「ゲイ」の使い分け。ラブとライクじゃなく、立つ好きと立たない好き。など。尚、エンドロール後、オマケあります。

(評価:★3)

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