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[コメント] ラ・ポワント・クールト(1955/仏)

アニエス・ヴァルダの長編デビュー作。ヴァルダも移動大好き。冒頭数分は最高じゃないか。木材の年輪にクレジットが入り、パンニングして、町の通りを見せる。そこから前進移動し、洗濯して干した布巾をカメラが抜け、通りを移動し続けるのだ。
ゑぎ

 この冒頭の、なんという心地よさ!ステディカムのない時代、レールも引かずに、全くブレない移動撮影だ。ラストも、男たちが座っている長テーブルを右に横移動して行き、最後に楽隊を見せる、見事な移動ショットなのだ。

 タイトルはある漁村の名。こゝで貝や魚を獲る住民たちの生活、衛生局の検査員との攻防、祭り(船から棒で突き落とす試合)の日の様子などが描かれるが、妻が、パリからやって来るのを5日連続で駅に迎えに行く男として、フィリップ・ノワレが登場する。そして、やっと到着した妻、シルヴィア・モンフォールと二人で延々と歩いて、あるいは、廃船の中で会話する場面が、実はメインのプロットなのだ。宣材写真でも使われている、後景に正面を向いた顔、手前に横顔を重ねた、彫像のような立体的な映像が面白い。しかし、妻役のシルヴィア・モンフォールが、もう少し綺麗かチャーミングなら、かなり異なる映画になっていただろう。この女優では、ちょっときつい。

#編集はアラン・レネ

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ひゅうちゃん

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