逆にツイストはほとんど無いが、しかし、その分力強く、面白さが収斂されていると思った。まず、映画全体のお膳立てとなる、冒頭の襲撃事件を見せる（一部見せない）演出が考えられている。ファーストカットは、ビル群の俯瞰ロングを左パンニングかつティルトダウンするカメラワーク。続く、現金輸送車後部からの長回しのワンカットで、強盗団襲撃を見せるのだ。カット内で、スタン・グレネード（音響閃光弾）が車内に放り込まれる部分。あるいは、オフ（画面外）で、警備員と一般人にも誰かが発砲したことが分かる演出。ちなみに、ビル群のロングショットは、この後２回、逆さまのカメラワーク（ティルトアップ）で反復される。

　また、脇役も渋い男優揃いでワクワクする。警備員仲間のジョシュ・ハートネットはちょっと情けない役で可哀想だが、警備会社の管理職・エディ・マーサンは、逆に小心者の感じがこの人らしくていい。コワモテの役だとＦＢＩ幹部のアンディ・ガルシア、敵役側のジェフリー・ドノヴァンとスコット・イーストウッド、それぞれいい雰囲気なのだ。ただし、スコット・イーストウッドについては、こういう役で甘んじていると、ちょっと将来が心配だが。

　尚、内部密通者をアッサリとばらしてしまう展開にも驚いたが、これが、上で書いた、ストレートな展開と感じられる部分でもある。それに、終盤の社屋内での銃撃戦は、皆で戦う感じがいい。いつも冗談を云いながら銃を渡してくれた人たちが、強い。そのプロ意識の描写に感動する。

　あと、ジェイソン・ステイサムと、冒頭の強奪事件との関わりは、全くの偶然、という方が、分かりやすかったように思う。部下のヒゲの爺さんとの電話シーンがあるので、ちょっと混乱する。