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[コメント] 追憶の女(1942/米)

これも最強のベティ・デイヴィス。もうたまらんです。映画の良識を担うのは、デイヴィスの姉役、オリヴィア・デ・ハヴィランド
ゑぎ

 ハヴィランドが表向きの主役と云ってもいいのだが、実際は単なる進行役に過ぎず、真の主役で、ジョン・ヒューストンが面白がって演出しているのは、圧倒的にデイヴィスだろう。デイヴィスは、この時すでに、ベビージェーンのように見える。

 付け加えるなら、デイヴィスを取り巻く人物として、彼女を溺愛する(そして夫のフランク・クレイヴンを馬鹿にする)母親、ビリー・バーク(『オズの魔法使』の良い魔女)の存在があり、さらに、伯父さんのチャールズ・コバーンがいる。この二人のいびつなキャラ造型も、ヒューストンの好みだろう。つまりは、やっぱり、デイヴィスを中心とするこれら三人の、パラノイアックな欲望が描かれた映画なのだ。人権に関してのリベラルな主張とも受け取れる部分も、単なる背景に過ぎないのでは、と思えて来る。なので、ハヴィランドも、その元夫のデニス・モーガンや弁護士ジョージ・ブレントも、イマイチ面白みのない造型だ。あるいは、姉妹の父親フランク・クレイヴンが、バークの兄のコバーンに資産を奪われても、気にしていない、心の広い人(バークのことを叱らないのは、悪いとは思うけれど)、として配置されているのも、悪の三人組のカムフラージュではないか、と思えて来るのだ。

 さて、気になって調べてみると、ハヴィランドは1916年生まれで、デイヴィスは1908年生まれ。姉妹の配役は、実年齢では8歳逆転している。あと、日本では劇場未公開とのことなので、邦題はテレビ放映時に付けられたものかと思うが、意味不明のよろしくない邦題だ。

(評価:★4)

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