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[コメント] 幸福の限界(1948/日)

夜、線路脇の道を藤田進原節子が歩くフルショット。綿のような雪が降っており、藤田が傘をさす。いい出だし。このカットはローアングル気味のカメラ位置。木村恵吾なのでローアングルは勿論多いが、本作はそう極端ではない。半々ぐらいか。
ゑぎ

 屋内ドリーは、だいたい胸位置ぐらいだ。また、原節子の膝下丈のスカート姿が目立つ。これも木村恵吾らしい脚フェチ志向で、ストッキングを脱ぐ膝下のアップもある。あるいは、伊豆のハイキングシーンなど、胸の形がよく分かるセーター姿も印象に残る。本作の原節子は、新時代の女性の価値観を代弁する役で、結婚生活は性生活を伴った女中と云い、新たな男女関係を模索する役柄なのだが、画面上は、他の出演作以上に男性目線の性的なイコンとして描かれているように私には思われる(私の汚れた心の所為かも知れないが)。

 原に対して、その姉を演じる市川春代は子連れの出戻りで(確か26歳の設定)、旧態然とした結婚制度を肯定し、再婚を志向する役柄。もう一人、姉妹の母親、田村秋子の妹(姉妹の叔母)で、子供が7人、今度8人目も授かった、という沢村貞子もおり、女の幸福とは、という主題が対比して描かれるのだが、終盤で、田村秋子の行動が、収束へのキーポイントとなる。この頃の田村秋子は、いろんな映画で、このようなキーとなる役を任されている。(例えば、『自由学校』、『本日休診』、『こころ』)

(評価:★3)

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