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[コメント] 東京夜話(1961/日)

タイトルから、これも銀座から始まる映画かな、と思っていたが、渋谷だった。裏町から撮った東京の景色のカット群。中に「渋谷スカラ座」(現在の「TOHOシネマズ渋谷」か)の看板が見えた。
ゑぎ

小さな車(スバル360?)に乗った山崎努が登場。鳥居のある路地(百軒店?)に入って行く。バー「ケルン」。山崎は新しいバーテンだ。女給の団令子、そして、ママの淡島千景の登場。二階の部屋には、女給の岸田今日子が隠れている。丹波哲郎に殴られたからだ....。というような出だし。

 もうちょっと配役の紹介を続けると、淡島のパパ(情人)は元外交官の芥川比呂志。芥川の邸宅は高輪にあるが、土地は銀行の抵当に取られている没落華族。山崎は銀座のバー「オセロ」を辞めて来たのだが、オセロの雇われママは乙羽信子で、本作でも見事な関西弁を喋る。また淡島とは旧知の間柄という設定。オセロのホステスに馬渕晴子、客に有島一郎がいる。そして、本作のメインプロットは、銀座「オセロ」の買い取り話であり、誰が買い取るかの行方のお話だ。終盤に向かって淡島と山崎の争いになっていく。

 実は、まだまだ多彩な俳優陣が顔を見せ脇スジを作る。例えば、山崎努は不良学生だが、大学の友人で真面目に学生運動に参加している高橋昌也本郷淳が登場し、彼らとの関係は山崎のキャラクターを印象付ける重要な場面になる。画面としても、オセロの屋上で、山崎と本郷が喧嘩するシーンは、背景に服部時計店の時計台が見える良い場面だ。あるいは、チョイ役で、酒屋の兄ちゃんのフランキー堺、銀行員役で森繁久彌が出て来たりもするのだが、何と云っても特筆すべきは、ケルンの客で、団令子に入れあげている、畳屋の中村伸郎だ。団令子の口から自分の口へ、酒を流し入れさせて嬉々とするスケベ親爺。寝込んだ中村の家を団が訪ね、二階の部屋で同衾するシーン(一階には中村の息子夫婦、名古屋章原千佐子がいる)も、忘れがたく、私にとって、本作で一番記憶に残るのは、間違いなく中村伸郎だ。

 というような訳で、全体に少々いびつなプロット構成を持つ映画でもあるのだが、終盤になって、オセロ買い取りの資金源として、芥川の邸宅(建物)がフォーカスされてくる。しかし、この建物の扱いも、性急過ぎる展開を見せ、なんだかドタバタして終わった感覚を持つ。

 尚、もっと早く書くべきだったと思うが、本作でも淡島の美しさが勿論見どころで、特に、ラスト近くの、風呂場でのカットは絶品だ。胸上からのバストショット(乳房は湯舟の中です)の思いつめた表情がいい。

(評価:★3)

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