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[コメント] 七人の無頼漢(1956/米)

やはり、恐るべき安定感と簡潔さ。こゝまでシンプルかつ揺るぎない画面造形を持つ西部劇は他にモンテ・ヘルマンぐらいしかないのではないかと思える。例えば、冒頭の乗馬で荒野を行くカットをつなげる部分でも完璧なアクション繋ぎを見せる。
ゑぎ

 いや、全編に亘ってなんとも端正な、しかし小さな驚きを与えるカッティングの連続なのだ。また、荒野の風景も窪地や岩山を上手く使っているし、ラスト近くになって舞台となる町のロケーションも、町の入口が少し丘のようになっている、その坂を幌馬車がゆっくりと下る、というような空間の活用の仕方が見事に緊張感に貢献しているのだ。

 そして、リー・マーヴィンが実に貫禄のある悪役を好演しており、殆どランドルフ・スコットを喰っているのが嬉しいが、ラストの決闘シーンで、一方の銃さばきを見せずに、一方が撃たれるリアクション演技だけで済ます、というのはいかがなものか。『駅馬車』のラストの決闘シーンで、リンゴ・キッドがプラマー兄弟を仕留める演出(あれは完全に画面外の演出)を思い起こしたりもするが、こゝはガンアクションを見たかったというのが私の偽らざる感想だ。

 あと、ヒロインのゲイル・ラッセルは30歳前の役柄か。ルックスはもう少し上に見えてしまうが、登場シーンで、泥土の中に顔を突っ込む頑張りを見せるだけでも感動してしまうし、スコットとの淡いロマンス部分もかなりグッとくる。矢張り、スコットの役はジョン・ウェインがやりたかっただろうなぁと思いながら見た。だが、もしウェインがやっていたら、この後続く、ベティカー+スコットの一連の西部劇が多分見られなかったことを思えば、ウェインが本作の役を降りざるを得なくなった経緯も映画史の幸福というべきなのだ。

(評価:★5)

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