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[コメント] ラスト・ラン 殺しの一匹狼(1971/米)

ポルトガルのアルガルヴェ地方の港町で暮らす、ゲッタウェイ・ドライバー、ジョージ・C・スコットの最後の仕事を描く。
ゑぎ

序盤は、妻の墓や、教会での告解、馴染みの娼婦、コリーン・デューハーストとのやりとりなど、ゆったりと時間を使う。これが、護送中のトニー・ムサンテを、山道で車(BMW)に乗せるシーンから、いきなり、活劇が動き出す。トラックが来て、道に石を落とす。続いて、警察の護送車がやってくる。囚人たちが石の除去を行うが、唐突にトラックが爆発するのだ。このシーンの空間の見せ方、感覚がいい。

 ムサンテをスペインからフランスへ運ぶのがスコットの仕事。途中、ムサンテは恋人のトリッシュ・ヴァン・ディーヴァーと合流し、3人での旅となる。しかし、結局ムサンテは仲間(脱獄を手配した組織)から裏切られ、フランスからスペインへ、そしてポルトガルへ逃走することになる。追われるようになってからが、さらに面白くなる。白いジャガーとのチェイスシーンと、ネクタイを導火線のようにして、敵の車を爆発炎上させる演出は、特筆すべきだろう。

 あるいは、夜中、ディーヴァーがスコットの部屋に来て、ベッドで会話するシーンなんかも、ゆったりとしたカメラワークで、緩やかなズーミングも心地いい。ズーミングはこういう風に使って欲しい、という良い画面なのだ。

 そして終盤3人はポルトガルの港町にたどり着く。デューハーストの再登場と追っ手との銃撃戦。BMWのイグニッションキーを回すエンディングの演出がカッコいいのだ。砂浜から海の小舟を映し続ける、このエンドロール含めて、なんとも胸が震える帰結の見せ方ではないか。

#本作撮影時、ジョージ・C・スコットとコリーン・デューハーストは夫婦。その後、離婚し、ご存知の通り、スコットはトリッシュ・ヴァン・ディーヴァーと結婚する。

(評価:★4)

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