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[コメント] 刺青一代(1965/日)

やはりこの映画の良さは、いやそれは清順の良さは、ということだが、とりもなおさず圧倒的に闊達自在な演出だ。プロットは陰惨でジメジメしたところも多い内容だし、当然ながらジャンル必然の帰結を持っているのだが、しかし演出は伸びやかで何にも縛られない開放性がある。
ゑぎ

 それは有名な殴り込みシーンについての自由な発想−黄色と青色の襖や、クレールの『幕間』のような畳の下から撮ったイメージ−が極点ではあるのだが、例えば、野呂圭介登場シーンの演出(屋根の上で寝ている!ロングショット)や、或いはジャンプカットによって増幅された和泉雅子のちゃきちゃきしたキャラクタリぜーション、といった部分においても、映画を既成の枠組みから解き放つような自由さを感じることができる。そして川と水車、山間部の自然描写等、美しいカラー撮影も本作の解放感に大いに与している。

#さて、和泉雅子のキャラクターがいいなぁ。惚れた男、高橋英樹へのぶれない強い気持ちが最高だ。特に、工事現場が何者かに爆破された事件について高橋が疑われる場面で、当日のアリバイとして、カフェの女給・松尾嘉代と一緒にいた、ということを知った後の彼女の言動の格好良さといったら。

(評価:★4)

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