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[コメント] お茶と同情(1956/米)

全体に演劇的過ぎるのとラストが曖昧というか複雑過ぎて、フラストレーションの溜まる出来ではあるが、ヴィンセント・ミネリの演出力は納得することができる。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いわゆるジェンダーを扱った映画だが性同一性の問題についての映画ではない。主人公・ジョン・カーは寮母(教授夫人)デボラ・カーに恋をしており、彼のロスト・バージンの映画でもある。今見ると彼が「Sister Boy」と揶揄される部分は中途半端な感が否めない。もし現在再映画化でもされたなら、もっと直截的な性同一性の問題として描かれるだろう。

 とは云うものの、流石に演出はヴィンセント・ミネリだけあって画面には見所がある。まず舞台となる寮の空間造型がいい。階段と2階の部屋をうまく使う。冒頭、現在のジョン・カーが2階の部屋の窓から外を見る。続いてカメラが窓のすり抜け移動をすると同時にディゾルブして回想シーンとなり、デボラ・カーが庭いじりをする場面に繋ぐ。そして若きジョン・カーがギターを弾きながら「The Joys of Love」を唄う、という処理なんてとてもいい感じだ。そして最も良いシーンはダンス会の夜、デボラ・カーがジョン・カーを引き留めるシーンだろう。結局引き留められなかったデボラ・カーが寮の窓から外を見ると雨の中にソーダショップのネオンが見える、という場面は情感たっぷりだ。

(評価:★3)

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