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[コメント] 王国の鍵(1944/米)

撮影者がアーサー・C・ミラーだからか、その他20世紀FOXの美術装置の担当者が重複しているからか、本作のスコットランドのシーンは、『わが谷は緑なりき』を彷彿とさせるルックがある。主人公グレゴリー・ペックの少年期を演じる子役としてロディ・マクドウォールが出演している、という共通項もある。
ゑぎ

 『わが谷は緑なりき』から離れても、エドマンド・グウェンアーサー・シールズが登場して、ペックが叱られる学生時代の屋内シーンが、天井の低いアーサー・ミラーらしい画面で嬉しくなる。最初は二人に責められるが、途中からグウェンが釣りの話を始めると、次のシーンで、グウェンとペックが川で釣りをする幸福な場面が繋がれるのだ。あゝ『静かなる男』のよう。しかし、フォードほど抒情的ではなく、シーン終結のフェードが素早い。川に飛び込んで魚を釣り上げようとする男たちをもっと見ていたい、という欲望はあっさり破棄される。このあたりがジョン・M・スタールらしさかも知れない。

 中盤以降の中国での布教活動を描いた部分は、ジョセフ・L・マンキウィッツナナリー・ジョンソンというビッグネームのタッグの跡がうかがえる、刺激を欠いた画面の連続で、勿論、トーマス・ミッチェルヴィンセント・プライスジェームズ・グリースンを見ていると、それなりに楽しめはするが、特筆すべきものはない。

(評価:★3)

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