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[コメント] ホノルル・東京・香港(1963/日=香港)

尤敏(ユー・ミン)+宝田明主演「香港三部作」の第三作。タイトルの三都市の景色でクレジットが入る。東京は皇居二重橋、皇居側から撮った日比谷などが映る。本編のロケーションも、ホノルル〜東京〜香港〜東京、とシンプル。
ゑぎ

 本作の尤敏は、ヨットの上で、ワンピースの水着姿での登場だ。ホノルルの大学生で、学友に加山雄三星由里子がいる。という訳で、同年の『ハワイの若大将』と同時期に撮影されている。そして、宝田明は加山の兄で、東京銀座の真珠の宝石商で働いている。

 プロットは、尤敏が、ミスコンテンスト(加山が勝手に申し込んでいた)に優勝し、副賞として東京・香港旅行がプレゼントされたところから始まる。宝田は冒頭のホノルルのシーンにも弟を訪問するというかたちで登場し、尤敏とも知り合うが、初恋の人で、ハワイで生活を送っている草笛光子との邂逅のプロットが主に描かれる。本作は、これらの登場人物の複数のベクトルでの三角関係(四角関係)のお話だ。すわなち、尤敏をめぐる宝田と加山、そこに宝田と草笛との関係、さらに加山と星との関係。

 中盤は、宝田が尤敏を東京案内するパートとなるのだが、宝田と尤敏の口喧嘩がずっと描かれる。正直、どのタイミングで、お互い好きになったのかは、よく分からない。東京タワーと銀座。孤児院へプレゼントを持って行ったり。怒った宝田が尤敏の頬をビンタする場面があるのは、これは流石にマズかろうと、ずっと気になってしまった。この演出が許容される時代だったのだ。

 尚、宝田及び加山の父母は上原謙東郷晴子が演じ、祖母は飯田蝶子だ。大好きな飯田蝶子が適度に目立つ場面が与えられていて、嬉しかった。三木のり平の探偵を雇って、宝田と尤敏の仲を調べさせたり、二人が恋愛に発展することを心配してホノルルから東京へ戻って来た加山を叱ったりする(懐剣を渡して腹を切れと云う)。

 さて、尤敏の香港旅行の場面は、親に決められたフィアンセに会う、というイベントも兼ねており、フィアンセは、『香港の星』の尤敏の友人の医師役の人だ。香港のシーケンスの尺は短いが、前二作以上に観光映画っぽく景勝地を紹介する。

 あと、草笛光子が東京のクラブで、ハワイアンを歌い踊るシーンがあり、特記しておきたい。流石は松竹歌劇団(SKD)出身だ。あらためて歌が上手いことに驚いた。

 ラスト、宝田は尤敏に別れのキスを求める。シリーズ前二作では、二人のキスシーンは、いいところまでいったのに描かれなかったので、やっと見られるかと期待させるのだ。結果は書かないが、ちょっとフラストレーションが払拭する演出が用意されている。

#備忘でその他の配役等を記述

 尤敏が東京に着いて最初に泊まる旅館の女将に藤間紫。尤敏が東京で迷子になった際の、京橋の交番の巡査は藤木悠。銀座の寿司屋でガイドをかってでる怪しい男は佐田豊中山豊。街頭の靴磨きの男は広瀬正一

(評価:★3)

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