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[コメント] 森の鍛冶屋(1929/日)

わずか20分弱の欠落版を見たが、清水宏で、現在残っている最も古い作品らしい。自然描写や、人が歩くシーンはほとんどないが、冒頭の、次郎が川の側の木から落ちるシーケンスで、父親の井上正夫が対岸から川を渡ってくる演出がいい。
ゑぎ

木から落ちた次郎は、結局、足が悪くなる。中学生頃のシーンでは、兄に負んぶされている次郎。悪ガキが、足のことをチンバ(字幕のまゝ)と囃し立てる。怒る兄。喧嘩になりかけるが、次郎が止める。兄は、弟の足を治すために医者になると決意する。この場面も田舎道が舞台になっていて、いい調子だと思う。そして、本作中最も鮮烈な、目が覚めるような場面が、まだ20歳前の田中絹代の登場シーンだ。川にかかった丸太の橋を渡る途中で、村長の息子と鉢合わせになり、バストショットで切り返す。

 お話は、医者になって帰郷した兄が、村の公金?盗難事件の犯人に疑われ、真犯人を突きとめる、というプロットがメインに見える(現存版では)。しかし、弟次郎の足を治すシーンもあったに違いなく、エンディングで兄が乗る汽車を見送る次郎の足は、治癒していることが、ティルトダウンして示されるのだ。ちなみに次郎の隣には田中絹代が一緒にいるので、この2人が恋仲であることを示すシーンが、中盤であったのだろうと推測する。あと、岡村文子が、まさにモダンガールというルックスで2回(汽車の中と結婚式の場面で)登場するのも見モノです。

(評価:★3)

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