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[コメント] 風が踊る(1981/台湾)

シャオシェンが前作『ステキな彼女』に引き続いて国民的歌手フォン・フェイフェイを主演にむかえて撮ったアイドル映画。実は、このような物云いは正確で無いのかも知れない。
ゑぎ

 まだまだ新人に近いが有望な監督だったホウ・シャオシエンが、引き続いて抜擢された、という云い方の方が正しいのかも。また、前作の関連で云うと、フェイフェイだけでなく、ケニー・ビーアンソニー・チェンの3人が続けてキャスティングされている。

 本作は浜辺の風景から始まる。澎湖(ボンフー)という名の島らしい(後にセリフで出てくる)。フェイフェイは写真家で、テレビCM撮影に同行するスチルカメラ担当、という役柄のようだ。冒頭の海辺のシーンは、ロングショット主体の画面で、ズームも使われるが、前作に比べても落ち着いた使われ方だ。こゝで、現地の目の見えない青年、ケニー・ビーと知り合う。本作の彼は、前作とはまるで別人のような、暗く沈んだ青年、という雰囲気で登場する。ちなみに、アンソニー・チェンはCMディレクターの役で、フェイフェイとは、一応恋仲、という設定だ。

 舞台はすぐに台北に移り、フェイフェイとケニー・ビーは再会することになる。ビーは角膜の提供と手術を台北で待つ身だが、フェイフェイと付き合うことで、徐々に快活になって来る。町中の撮影では、望遠レンズを使ったウェストショットが目立つ。

 さらに舞台はフェイフェイの故郷に移り、彼女は小学校の代用教員となるのだが、ケニー・ビーは、目の手術に成功し、フェイフェイを追ってやって来るのだ。都会から離れた田舎が背景なので、シャオシェンらしい抒情的かつユーモアのある描写が続くが、レールを敷設して移動撮影したのではと思える、移動とパンニングを組み合わせたカットもあり、ダイナミックな演出も見られる。

 ラストは台北に戻り、CMディレクターのアンソニー・チェンも絡めた3人の関係の収束が描かれるが、『ステキな彼女』のような、リチャード・レスター的な(ビートルズ映画的な)コメディ基調の展開にはせず、しっとりとしたドラマになる。ただし、フェイフェイとアンソニー・チェンの心持ちの描き方は淡泊過ぎるように思う。尚、冒頭から、フェイフェイが唄う主題歌(デュエット曲なので、男性歌手と一緒に唄っている)が連打され、耳に残る。

#本作でも「仰げば尊し」が教室で唄われる。

(評価:★3)

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