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[コメント] 893愚連隊(1966/日)

初期中島貞夫の瑞々しいヤクザ物。と云っても、主人公側は暴力団組織ではなく、タイトルにあるように愚連隊と称している。俺たちは民主主義だ、とうそぶく。最終的に愚連隊と本物のヤクザとの対決になるお話。
ゑぎ

 京都駅の外観(俯瞰)から始まる。京都駅構内をはじめ、京都市街をゲリラ撮影したと思われる、シャープな撮影が一番の見どころだ。望遠レンズでとらえられた街中を、若者たちがいきいきと動き回る。

 中盤までは天知茂が主演と云っていいと思うが、終盤で完全に松方弘樹に主役が入れ替わる。彼らの仲間には、荒木一郎広瀬義宣近藤正臣がいるが、参謀と呼ばれる荒木が、なかなかいい役者で驚いた。近藤は、本業は予備校生というスケコマシ。ほとんど『エロ事師たち』の彼と同じイメージだ。彼らに対する、というか、折に触れて絡んでくる本物のヤクザ側は、高松英郎潮健児。潮のサングラス姿がなかなか似合っている。

 女優では、天知の以前の女、宮園純子と、松方の女、三島ゆり子、いずれかが、ヒロインかと思わせるのだが、二人とも出番は少なく、さしたる見せ場もない。いや、ワンカット、天知が宮園と抱き合ってキスするフラッシュバックがあるぐらいだ(お互いの腕に、相手の名前を書いている。これも瑞々しくて笑ってしまう)。と思っていると、ヒロインは稲野和子なのだ。最初、近藤に誘惑されて、アジトに連れてこられ、メンバに姦された後、三島のバーに勤める、という扱いだが、後半は、彼女の存在・言動が、天知と松方の行動を惹起する重要な役柄に変貌する。

(評価:★3)

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