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[コメント] お墓がない!(1997/日)

劇中劇の『宣告』の結末は時代を先取りしている、と感じた。コメディの殻を被った、意外に骨のある、風刺の効いた脚本。二役を演じた岩下志麻の好感度バリ上がり。特に春日お婆ちゃん、かっこ良過ぎでしょう?
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**ネタバレ注意**
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墓至上主義の映画かと思いきや、1997年の映画なのに葬儀なし・棺なし・墓なしのゼロ葬を結末に持ってくるあたり、かなり時代を先取りしている。まずこの点に素直に驚く。

都会ではお墓参りをする者がいなくなった無縁墓が年間3000基以上廃棄されていると聞く。少子化が続く日本では墓守の不在、費用対コスト、子孫に負担を強いたくないなどの理由から今後もゼロ葬は増加する傾向にあるとか。

かく言う僕もゼロ葬・散骨主義ですが。

劇中でも戒名の必要性、墓石や墓地代にかかる費用や葬儀に要する費用などに痛烈な批判が込められている。

無宗教と言いながらお布施を払って戒名をありがたがるご時世にこの風刺はかなり効く。

惜しむらくは袴田演じるセレモニー会社の社員が、『宣告』の結末に立ち会ってなお会社に居続ける理由が見いだせなかったことくらい。

彼には、「こんなばかげた商売やってられません」と啖呵を切って退職してもらいたかった。

(評価:★5)

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