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[コメント] 劇場(2020/日)

不安定な永田と常に彼を全肯定する沙希。永田が沙希に嫉妬し当たり散らす様が観ていて痛々しい。「ここがいちばん安全な場所だよ」「おいで」と両手を広げる沙希(松岡茉優)は女神のように優しくて、でもそれは彼を甘やかすだけだから離れないと駄目なんじゃないか、と思った。未明の薄紫色した桜がとても綺麗で悲しく映った。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







松岡茉優って本当に天才だと思う。

誕生日プレゼントに財布を貰って泣き出して、突然笑い出し泣き笑いに変わるシーン。

こんな自然にできるものだろうか。

序盤の大学生から27歳・ラストのその後までをきっちり演じわけていた。

ただ髪の長さや色だけでなく年齢を感じさせるものがあった。

山崎賢人のダメ男っぷりは普通。

「働けよ、お前も!」と何度も思った。

「勝手に嫉妬して原チャリ壊すなよ、ガキかよ」って思った。

「俺はディズニーと勝負してるんだよ」馬鹿かと思った。

(「じゃぁ、永くんはナガターランドだね」)って応える沙希ちゃん、いい子過ぎ。

(こんな子おらんやろ、普通に)

思えば青森の田舎から小包を送ってくれる沙希の母親に永田が悪態をつくシーンがある。

あの時点で沙希は別れてもよかった。

それなのに、「東京を楽しく歩けたのは永くんのお陰だよ」なんて言うもんだから、思わず落涙してしまう。

又吉が選ぶ言葉は凡庸だけれど、そこには普遍性があって胸に響かない人はいないんじゃないかと思わされた。

あぁ、それが才能ってことか。

すげぇわ。

又吉の本を読む気にはならないけれど、この作品は本当にすごい。

ほぼ同時期に観た『花束みたいな恋をした』よりも数倍面白くて切なかった。

★5は全て松岡茉優に捧げる。

(評価:★5)

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